施設長便り(4) 「行動障害」について 安藤 学

行動障害」とは「状況にそぐわない不適切な行動」のことをいいます。
そしあるの利用者の中にも、たまにそのような状態になる人がいます。ただし、それを「障がい」のせいだとして片づけることには異議があります。
例えば、言葉の通じない国に行き、レストランでメニューが読めない為、食事ができない、トイレの場所がわからない、必要なものを買う方法がわからない、交通機関の使い方が分からない、というような状態に置かれたら、誰でもパニックになり、尋常な行動などできなくなります。さらに、聴覚、嗅覚に過敏な方であれば、その不安は増すばかりでしょう。数年前に中国の北京に行きました。中国の文化に触れることができましたが、電車は常に満員で目的地につくまで不安でした。私の理解力に合わせた説明ができる友人がいた為、不安は軽減されていました。5日間の旅で、もし、友人が案内してくれなかったら・・・知らない国で頼れる人がいるということは、言語のコミュニケーションが図れない国では、頼るものは人です。そして、頼れる人から私が理解できるツールで説明をされ、実際に経験することで、安心を覚えるのではないかと思います。しかし、この視覚的なツールでも嘘の情報であれば、そのツールも人も信用しなくなるのではないでしょうか。
従って「行動障害」というものは、本人がどのような環境に置かれているかに左右されるもので、本人の問題とは別の問題が関係しているのです。そういう意味で、そしあるではまずは、人間性を磨くような研修を行った後に、知的障害者専門の通訳者としての役割を自覚するような研修を行っていきます。利用者が何をどうすればよいか、途方にくれないようにその日の活動の流れを本人に分かる方法で伝えるようにしています。その人の理解力にもよりますが、絵や図、写真、文字などの視覚情報を使って伝えることで、より安心感を持っていただけるような工夫を行っています。
それでも、外出の活動等において、想定外の状況に出遭い、「混乱」に陥ってしまうことがあります。きっと、本人が思っている世界の中に、突然、不安や恐怖を覚える何かが入ってきたのでしょう。支援者はその原因を探り、そのような場合、どのように対応すれば安心できるかを説明し、実際にその対応を練習しながら、新しい環境への適応力を高めていきます。「混乱」を一緒に克服する中で、利用者と職員間の信頼関係も深まっていきます。
一方、起こった行動だけではなく、起こさせてしまった行動と考えなければ、職員の質の向上にはつながりません。私達が行うべき支援は、彼らの見えない世界に明かりを灯すことと、その明かりの先に何が見えるかを、その人が理解できる方法で伝えていくことだと認識する必要があります。彼らの不適応行動を彼らの障がいに責任転嫁するのではなく、支援者側の準備不足や知識不足を認めることが大切だと思います。
そしあるでは、「行動障害」の問題は、環境整備の問題であり、二次的現象だと認識しています。藤原理事長をはじめそしあるが進めている「第二の家族」「終の棲家」構想においては、利用者が「行動障害」を少しでも軽減し、安心で活力ある環境作りを目指す事業所として、一人一人の特性を理解した上で、オンリーワンの支援を確立していきたいと考えています。最終回は、1回~4回までのそしあるの考えをどのように形にするのかを述べさせて頂きます。
そしあるの利用者の中にも、たまにそのような状態になる人がいます。ただし、それを「障がい」のせいだとして片づけることには異議があります。
例えば、言葉の通じない国に行き、レストランでメニューが読めない為、食事ができない、トイレの場所がわからない、必要なものを買う方法がわからない、交通機関の使い方が分からない、というような状態に置かれたら、誰でもパニックになり、尋常な行動などできなくなります。さらに、聴覚、嗅覚に過敏な方であれば、その不安は増すばかりでしょう。数年前に中国の北京に行きました。中国の文化に触れることができましたが、電車は常に満員で目的地につくまで不安でした。私の理解力に合わせた説明ができる友人がいた為、不安は軽減されていました。5日間の旅で、もし、友人が案内してくれなかったら・・・知らない国で頼れる人がいるということは、言語のコミュニケーションが図れない国では、頼るものは人です。そして、頼れる人から私が理解できるツールで説明をされ、実際に経験することで、安心を覚えるのではないかと思います。しかし、この視覚的なツールでも嘘の情報であれば、そのツールも人も信用しなくなるのではないでしょうか。
従って「行動障害」というものは、本人がどのような環境に置かれているかに左右されるもので、本人の問題とは別の問題が関係しているのです。そういう意味で、そしあるではまずは、人間性を磨くような研修を行った後に、知的障害者専門の通訳者としての役割を自覚するような研修を行っていきます。利用者が何をどうすればよいか、途方にくれないようにその日の活動の流れを本人に分かる方法で伝えるようにしています。その人の理解力にもよりますが、絵や図、写真、文字などの視覚情報を使って伝えることで、より安心感を持っていただけるような工夫を行っています。
それでも、外出の活動等において、想定外の状況に出遭い、「混乱」に陥ってしまうことがあります。きっと、本人が思っている世界の中に、突然、不安や恐怖を覚える何かが入ってきたのでしょう。支援者はその原因を探り、そのような場合、どのように対応すれば安心できるかを説明し、実際にその対応を練習しながら、新しい環境への適応力を高めていきます。「混乱」を一緒に克服する中で、利用者と職員間の信頼関係も深まっていきます。
一方、起こった行動だけではなく、起こさせてしまった行動と考えなければ、職員の質の向上にはつながりません。私達が行うべき支援は、彼らの見えない世界に明かりを灯すことと、その明かりの先に何が見えるかを、その人が理解できる方法で伝えていくことだと認識する必要があります。彼らの不適応行動を彼らの障がいに責任転嫁するのではなく、支援者側の準備不足や知識不足を認めることが大切だと思います。
そしあるでは、「行動障害」の問題は、環境整備の問題であり、二次的現象だと認識しています。藤原理事長をはじめそしあるが進めている「第二の家族」「終の棲家」構想においては、利用者が「行動障害」を少しでも軽減し、安心で活力ある環境作りを目指す事業所として、一人一人の特性を理解した上で、オンリーワンの支援を確立していきたいと考えています。最終回は、1回~4回までのそしあるの考えをどのように形にするのかを述べさせて頂きます。
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